ミュージカル観劇『ドクトルジバゴ』
で
Doctor Zhivago Musical on Broadway - YouTube
今日は映画とミュージカルのお話を…
先月、ニューヨークでブロードウェイミュージカル『ドクトルジバゴ』を観てきました。『ドクトルジバゴ』は、パステルナーク作のロシア文学、デビッド・リーンの映画で有名になった、ここで紹介するまでもない超大作です。
高校の時にレンタルビデオで初めてこの作品を観て、言葉にならないほど圧倒されました。美しいラブストーリーですが、映像のとてつもない壮大さ、ロシア革命に巻き込まれていとも簡単に平穏な暮らしを奪われる個人の無力さと、逆に暴君たる者の精神の幼稚な危うさ、男女の愛憎などなど大河ドラマのようなスケールで、観た後しばらく頭がじーんとして何も手につかないといった感じでした。
それから10年以上、好きな映画は?と聞かれるとすぐに思いつく映画の一つでした。
今年の春にブロードウェイでミュージカル化するということを知り、何が何でも観てみたい、あの長大なストーリーをどんなふうにミュージカルにするのかすごく楽しみでした。
もちろんセリフは英語だったので、ほとんどわからないのがとても残念でした(速すぎて聞き取れない)が、予想をはるかに超える素晴らしい舞台でした。
歌も音楽も非常にレベルが高く、あの狭い舞台をフルに活用した演出は、臨場感たっぷりで緊迫感がすごいのです。前列で見たため俳優が唾を飛ばし汗が噴きだしながら、全身全霊の熱唱するのを目の当たりにして、映画に勝るとも劣らないくらい感動しました。戦闘シーンでは爆竹を鳴らしまくって火を使ってドキドキハラハラ、果ては処刑のシーンまでリアルに描くのです。
そして、愛を歌うシーンは本当に美しくてほれぼれしてしまうし、衣装メイクも間近で見ても美しい。
隣に座っていたアメリカ人のご婦人とも、「素晴らしい舞台だったわね」みたいなことを言われて、片言の英語ながら感激を分かち合ったのでした。
しかしながら、本当に残念なことにこの舞台は、もう見ることができません。
興行成績が振るわなかったせいで、公演が打ち切られてしまったのです。幻の舞台となってしまいました。私が観劇した日は打ち切りが発表される直前の公演でした。俳優たちはおそらく、もう公演が打ち切られることは知らされていたのでしょう。何か俳優たちのただならぬ必死な集中力を感じたのです。この役はあと5回しか演じられない。そうおもうと、自ずと必死に役を完結させようという思いになるのでしょう。だからなのか、後日観た『オペラ座の怪人』などとは比較にもならないほど、感動しました。
ブロードウェイミュージカル『ドクトルジバゴ』
きっと一生忘れないでしょう。
もう一つ『ドクトルジバゴ』がDVDを紹するラジオ番組にとりあげられていました。とても興味深い内容なので、こちらもぜひ聞いてみてください。
ブラザートムの「週末これ借りよう編」:ドクトル・ジバゴ - YouTube