管谷怜子のブログ

はじめまして。福岡を中心にピアノ演奏活動とフリューゲル音楽教室を主宰しています。ホームページはhttp://ryoko-sugaya.com

「ピアノと声楽の調べ at伊佐邸」のごあんない

向寒の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。毎度格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

 

さてこのたび、国の登録有形文化財である伊佐邸住宅にてピアノと声楽のコンサートを開催することになりました。伊佐家住宅は、江戸時代末期に建てられた商家です。空襲や地震にも耐えてきた姿は今も美しい凛とした佇まいで歴史的な重みと人々の営みを感じさせてくれます。今回本当にありがたいことに、伊佐邸住宅の伊佐芳雅さんのご提案で、ピアノをわざわざ搬入してのコンサートが実現します。

 

残念ながらお客様は限定30名ですのでもう完売なのですが、オンライン配信で皆さんに広く楽しんでいただけるように企画しましたので、こちらで建物の雰囲気と主にお楽しみいただければと思います。

 

―プログラム―

ピアノ独奏

 

J.S.バッハ(1685~1750)

イタリア協奏曲第1楽章

 

主よ人の望みの喜びよ

ショパン(1810~1849)

ノクターン第2番作品9-2

 

幻想即興曲作品66

グラナドス(1867~1916)

アンダルーサ

ドビュッシー(1862~1918)

月の光

声楽とピアノ

 

三木露風 山田耕筰 

赤とんぼ

作者不明

中国地方の、博多の子守歌

ブラームス(1833~1897)

子守歌

モーツァルト() 

恋とはどんなものかしら

石川啄木

初恋

プッチーニ(1858-1924)

お父様にお願い

蕗谷虹児 杉谷長谷夫 

花嫁人形による幻想曲

シューマン(1810~1856)

献呈 

野上彰 小林秀雄

落葉松

北原白秋 山田耕筰

この道

ピアノ独奏

 

ガーシュイン(1898~1937)

ラプソディインブルー

 

オンライン配信はこちらからご登録をお願いいたします!

 

https://tiget.net/events/150845

 

 

第14回 J.S.Bachクラヴィーア作品全曲連続演奏会オンライン配信 演奏する曲目について

昨日、無事に第14回J.S.Bachクラヴィーア作品全曲連続演奏会を終えました。

今晩から2週間、オンラインでお申し込みの方にお楽しみいただきます。

演奏会の曲目解説の文章をこちらに掲載しますので、一緒にお楽しみいただければと思います。

 

 

パルティータ第5番ト長調BWV829

 

プレアンビュルム:プレアンビュルムはプレリュードと同義で使われるが、この曲はトッカータに近く、即興的な速い動きの連続が特徴だ。この曲は最初に和音のカデンツァを配することで少し重厚な質感も加えている。様々な音域の隅々にいきわたる速い動きも和音とのバランスをとって充実した発音で弾きたい。

 

アルマンド:フランス語で「ドイツの」という意味。アウフタクトで始まる中庸なアルマンドは、16分音符の繊細な旋律線はいかにも鍵盤楽器的な軽やかさをたたえている。どこかのどかでゆったりとした気持ちにさせるのが特徴だ。

 

コッレンテ:8分の3拍子。この曲は、浮足だつような低音のリズムが快活な表情を持つ。

 

サラバンド:付点のリズムの連続は、式典の音楽であるフランス風序曲のような雰囲気をもたらす。まるで湖面に移る景色が風で揺らぐようなリズム感である。

 

テンポ・ディ・メヌエットメヌエットはゆっくりとした3拍子の舞曲なので、この曲はゆっくり弾くべきなのだが、音型からは快活さが連想される。そのアンバランスが魅力なのか?

 

パスピエパスピエとは軽やかな足の動きが特徴のフランスの舞曲だ。アウフタクトの独特なリズム感が颯爽と進行し、なんとも快い感じを受ける。

 

ジーグ:このジーグは3声部の二重フーガのようになっていて非常に充実した構造になっている。最初のテーマはユーモラスな印象を与える下行音型に始まり、第二テーマはトリルを配して幾分厳粛に始まる。この二つのテーマは次第に重なり合うように奏されて融合していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

4つのデュエットBWV802-805

 

第1曲ホ短調BWV802:8分の3拍子。冒頭のホ短調のスケール(音階)とそのあとに続く半音階進行を対照させている。そのコントラストの不可解さがクセになる。2声でスケールが輪唱のようになるところは、抜けられない無限ループにはまり込んだような気分にさせられる。

 

第2曲ヘ長調BWV803:4分の2拍子。カプリッチョ(奇想曲)のような冒頭のテーマは、アルペジオ(分散和音)の進行をもとにできていて、とても快活な印象を与える。ところが中間部のカノン風の部分に入ると、新しいテーマが出てくる。暗澹たる雲が立ち込めるように不穏な空気に変わる。これは第1曲と同様に半音階進行の効果によるものだ。さらに冒頭のカプリッチョに戻るという、A-B-A構成をとっている。

 

以上の2曲は、安定した調性感を表出する音型(スケールとアルペジオ)と調性感を不安定にさせる作用を持つ半音階(クロマティック)の対照を意識して書かれたのではないかと思う。

 

 

第3曲ト長調BWV804:8分の12拍子。この曲は、純粋無垢といった雰囲気の類似する二種類のテーマが交差したり、はたまた、カノンのような部分が現れたり、といろいろな作曲技法が織り込まれている。そのためか、純朴なテーマの雰囲気とは裏腹に少し堅苦しいような充実感も併せ持っているところが面白い。また、テーマの後半に現れる旋回するような16分音符の音型もこの曲の特徴である。

 

第4曲イ短調BWV805:2分の2拍子。この曲は速いテンポで演奏する解釈が大半だが、このテーマは息の長いしみじみとした雰囲気を感じるので、ゆったりと演奏したい。

さらに、テーマの後半に、第3曲と同じような旋回するような音型が現れる。このことから、第3曲と第4曲は、テンポの違う旋回するモチーフに焦点をあててみたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

パルティータ第6番ホ短調BWV830

 

トッカータ:即興的な楽節AとフーガBの2部分をA-B-Aの構成に配置した規模の大きな曲である。Aは、ひたすら美しくいとおしさに満ちている。それに続くフーガも繊細な気品を感じるものである。

 

アルマンド:ピアノの場合特に「実際に指先でうたう感覚=音楽性」ということになろうと思うが、この曲は弾き手にとっては「指先が歌う感覚」を研ぎ澄ますことが最重要課題になる。美しい旋律を支える和音もまた軽やかに響く。

 

コッレンテ:この曲は、少し珍しいタイプのコッレンテだと思う。本来速くさっそうとした今日がコッレンテの特徴だが、この曲はもっと落ち着いて味わうだけのボリュームがある。シンコペーションのリズムも、軽やかさというよりは、もっと確固とした輪郭線を持つ音で弾くべきで、2声部の存在の重みを感じさせるリズムになっている。

 

エア:文字通り「エア=空気」が語源。アリアも同義である。軽やかにそよ風のようにさらっとしている。

 

サラバンド:数あるバッハのサラバンドの中でも最も規模が大きい。和音の響きはとても現代的な感覚で、幻想的でもある。

 

テンポ・ディ・ガヴォット:中庸なテンポの優雅な雰囲気の舞曲だ。サラバンドの心に迫る表現の後味を一掃してくれるような軽やかさを持っている。

 

ジーグ:このジーグのテーマは音型がシンメトリーになっていて、しかもテーマの中にドからシまでの12音のうち10音を使っている。そのために半音階的な進行は調性の安定感を逃れようとするとても神秘的なものになっている。それは遥か彼方の空にちりばめられた星を見るような効果を出している。これは少し強引だけれども、平均律クラヴィーア曲集第1巻の最終フーガを連想させるだろう。

 

第14回 J.S.Bachクラヴィーア作品全曲連続演奏会オンライン配信のお知らせ

 

向夏の候、皆様におかれましてはますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

コロナ禍で行動の自由が制限される日々が続き、社会的な様々なことが激変しているなか、前回の第13回J.S.Bachクラヴィーア作品全曲連続演奏会では、お客様方と久しぶりに生の演奏を分かち合えた幸せを感じました。

 

J.S.Bachクラヴィーア作品全曲連続演奏会もあと残すところ3回となりましたが、このような状況の中で、演奏を安心して楽しんでいただけるように、今回はオンライン配信に挑戦することにいたしました。もちろん生の音には及びませんし、画面を通して演奏をお届けするのは、少し戸惑いますが、これも時代の流れ、画面越しに少しでも良い演奏ができますように、試行錯誤したいと思っております。

 

オンラインチケットはこちらから購入可能です。

 

【アーカイブ配信】第14回 J.S バッハ クラヴィーア作品全曲連続演奏会 のチケット購入・予約は TIGET から

 

『第14回 J.S バッハ クラヴィーア作品全曲連続演奏会』を収録・編集した映像を配信します。
視聴チケットは6/21(月)の23:59まで購入可能です。
アーカイブ配信は期間内であれば何度でも視聴できます。

【出演】
管谷怜子

【料金】
アーカイブ(録画)視聴チケット 1500円
視聴期間:6/21(月)20:00~7/5(月)23:59

 

「第13回 J.S.バッハ クラヴィーア作品全曲連続演奏会」

先日1月24日(日)に、25名限定の予約演奏会として、第13回J.S.バッハ クラヴィーア作品全曲連続演奏会を無事に終えることができました。

ブログではあまり広く宣伝することもままならず残念でしたが、いつもご来場してくださる常連のお客様の前で久しぶりに演奏を披露できたことにとても喜びを感じました。

とはいえ、久しぶりの本番はいつも以上に気合いが入りすぎて、新しい課題もいろいろと見つかりました。アンコールではベートーヴェンソナタ第31番を初披露させていただき、大変感動しながら演奏しました。まだまだ仕上がったとはいえませんが、さすがの傑作は弾き手をも魅了してやまないものだと思います。また気持ちを新たに精進したいと思います。

 

コロナ禍で、演奏会のスタイルも変わっていくでしょうが、音楽そのもののすばらしさは、変わらずに味わうことができます。

次回は、もっと多くの方に聞いてもらえるスタイルが作れたらと思います。ご来場本当にありがとうございました。

『第13回J.Sバッハクラヴィーア作品全曲連続演奏会』ごあんない

深冷の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。

さてこのたび、5月24日(日)に日時計の丘ホールにて「第13回 J.S.バッハ クラヴィーア作品全曲連続演奏会」を開催する予定でしたがコロナウイルスの感染拡大を予防するために延期いたしておりました。この度感染対策を万全にしつつ、開催することとなりましたので、皆様ぜひお越しくださいます様よろしくお願い申し上げます。

8年にわたって、ここまで演奏を続けて第13回を迎えることが出来たのも皆様の暖かいご支援の賜物です。

コロナ禍で生活全般に変化が余儀なくされる中、改めて人が集って一つの演奏を共有するというライブの演奏会のありがたみをひしひしと感じているところでございます。

今回は《パルティータ第2番》《パルティータ第3番》そして《小さなプレリュード》を7曲演奏いたします。《パルティータ》はバッハの壮年期、まさに脂ののったころの作品で、組曲形式の作品の最高峰ともいえる傑作です。舞曲一つ一つの強烈な個性が一つの組曲として統合されていくのは圧巻です。《パルティータ第2番》は劇的な作風であり、《パルティ―タ第3番》はもっと線の細いたおやかさを湛えているようで、まさに陽と陰のような組み合わせです。

そして《小さなプレリュード》は子供の学習用の作品ですが、技術的な弾きやすさとは反対に、とても高度な音楽性が求められます。

  ご多用中とは存じますが、ぜひご来場くださいますようお願い申し上げます。

第13回J.S.Bachクラヴィーア作品全曲連続演奏会延期のお知らせ

 新型コロナウイルス感染症の流行が拡大している状況を受け、参加者および関係者の健康と安全を最優先に考慮し、5月24日に開催予定の『第13回J.Sバッハクラヴィーア作品全曲連続演奏会』を延期させていただきます。

 ご来場を楽しみにされていた方々にはご迷惑をおかけしますし、私自身も何とも残念です。

 一日も早くこの病気の広がりがある程度落ち着いて、安心してイベントが開催できる状況になることを願います。その暁には、またこの演奏会を開催して、さらに第14回、第15回と積み重ねて参りたいと思っています。このような状況になると、何気なく当たり前の事として人との集まりに参加したり、演奏会を聴きに行ったり演奏会を開いたりできることが、どれほど人生を豊かにするのに大事なことだったのかと痛感します。しかし閉塞感のストレスを吹き飛ばして、この機会に精進しておきたいと思っています。

 

 皆様どうかご無事で、くれぐれもご用心してください!そして、また日時計の丘ホールで演奏が披露でき、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。